2005年 05月 06日
『ある運命について』 司馬遼太郎 |
恋愛と言うものを古典的に定義すれば、
両性が互いの中にもっとも理想的な異性を見出し、
性交という形而化的行為を介在させることなく
たとえなにかのはずみでその行為があったとしても
その次元に双方の拡張を引き下げることなく
欲情をそれなりの芸術的諧律にまで
高め続ける双方の精神の作用を言う、とでもいうほかない。
しかし今日ではすでにこのことは存在しがたく、
恋愛小説そのものが成立しにくい分野にまでなっている。
『ある運命について』 司馬遼太郎
by wing-town
| 2005-05-06 00:04
| 名言